私は、2026年3月に東京都から倉敷市児島に移住しました。移住と同時に会社員を辞め、フリーランスとして主に岡山県内でライターや編集者として活動しています。
児島は岡山県南部の瀬戸内海に面した地区で、瀬戸大橋のたもとに位置します。児島に住み、県内のいろいろな場所で仕事をするなかで、県民の皆さんと接しながら感じたことや気づいたことがあります。ここでは、「居住地選び」と「県内を移動する際の距離感」について、率直にお伝えします。
個人的な話が多く、ふざけ気味で恐縮ですが、少しでも参考になれば幸いです。
(児島の町の様子や食べ物については、第1回の記事をご覧ください。)
「なんで児島なん!」「え、児島?」「児島っ!?」
フリーランスのライターとして、岡山県内の企業やお店などを取材していますが、取材で初めてお会いする方と名刺交換をして少しお話しすると、もっともよく返ってくるリアクションです。
このリアクションには、大きく二つの意味合いがあることがわかってきました。
一つは地域選択。「東京から移住して来たんです」と話すと、岡山市でも、倉敷市周辺でもなく、「この人はどうして児島を選んだのだ」といった様子。岡山に移住するにしても、もっといい場所あるでしょうに、という感じなんですよね。児島、いいところなのに。「住みたい街ランキング〜岡山県版〜」(私の独自集計)では、どうやら児島エリアはトップ10圏外のようなのです。
で、「なんで児島なん」と言われ、私も「海のそばに住みたくて」とか「瀬戸内海が好きで」と無難に返せばいいものを、「初対面のもうすぐ四十になる男が、そんな純粋なこと言ったら気持ち悪いかな」「海が好きそうな見た目じゃないし、嘘っぽいかな」などと逡巡してしまい、さらに、児島に移住した最大の理由を、「この人に正直に言って問題なさそうか」と見定めていると、数秒間、挙動不審タイムが発生。初対面にしてマイナスな立ち振る舞いとなってしまうのです。これから私がインタビューをするのに!
先日、移住した最大の理由を知っている取引先のAさんと一緒に取材した際に、こんなやりとりがありました。
取材先のBさんへ一緒にご挨拶すると、やはり冒頭のようなリアクションが返ってきます。
Aさんがニヤニヤしながら「移住の理由が面白いんですよ〜」と言うと、Bさんは「え、何? 競艇?」と、いきなり正解。「そうなんです!」「競艇で!ばっかやなあ!(笑)」と盛り上がりました(笑われました?)。
もう一つは距離。取材や打ち合わせは岡山市か倉敷市が中心なのですが、児島から車で40〜90分。渋滞状況によっては2時間くらいかかることもあります。
例えば、定期的に取材の発注をしてくださるCさんから先日、「児島からたいていの取材先は遠いから、いつも申し訳ない感じで……」と言われました。でも、取材で往復数時間の車移動を遠いとは感じないんですよね。
というのも、東京で取材していた時は移動にもっと時間がかかっていたことが多く、電車移動が主体だったので、今の方がはるかに快適なのです。神奈川や埼玉でも、エリアによっては電車を乗り継いで一日がかりの取材。夕方ごろに会社に戻っても、ヘトヘトでやる気ゼロです。
「いえいえ、遠いとは全然感じてなくて」と、今のような説明をすると、「たしかに東京から来られた方はみんなそう言います。そういえば平川さんも東京でしたもんね」。
そういえばそうなんですよ。はやくも児島オーラをまといはじめたのでしょうか。
まあたしかに、岡山市や倉敷市で仕事をするなら、毎日の通勤で児島は遠く感じてしまうかもしれません。また、職業やライフスタイルを選ぶエリアだろうなとは、素直に感じます。良くも悪くもです。ちなみにJRなら、児島駅から岡山駅まで乗り換えなしで20~30分ほど。首都圏の通勤事情を知っている方にとっては、「めっちゃリーズナブル」と感じるかもしれません。

次回は、児島への移住と同時にフリーランスとなり直面している「仕事の苦労」と、そこにある「おもしろさ」が表裏一体となった日常を、少しお伝えする予定です。
平川 透(ひらかわ・とおる、フリーランス編集者/ライター)
フリーランス編集者/ライター。1988年生まれ、長崎県出身。新聞社や出版社で書籍の編集者や雑誌の記者などを経験。2026年3月に東京都から倉敷市児島に移住し、現在に至る。
個人サイト:https://0119.jp/
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